4月、日本列島は桜一色に染まります。桜の名所は数知れず、私たちは毎年の
ようにお花見に心躍らせます。
しかし、この「桜」がかつて「リスクコントロール」として重要な役割を
果たしていたことは、あまり知られていません。
日本は国土の7割が山地で構成され、川は短く急流、しかもその流域に多くの
町が広がっています。加えて、四季がはっきりし特に梅雨や台風シーズンには
集中豪雨に見舞われやすくなっています。こうした地形的・気候的特性により
日本は世界でも有数の水害リスクを抱える国です。
江戸時代、徳川吉宗は荒川や墨田川などの土手に桜を植えるよう命じました。
桜の根が地中にしっかり張り、土手の崩壊を防ぐ役割を果たします。また、春に
なれば多くの人々が花見に訪れ、土手を自然に踏み固めます。これにより堤防の
強度が高まり、結果として水害リスクの軽減に貢献しました。
桜は景観と娯楽、防災を同時に成立させた、いわば先人による高度なリスク
コントロールの知恵だったのです。
私たち保険業界は、保険というリスクファイナンスを通じて「万が一」に
備える手段を提供しています。
しかし、真のリスクマネジメントとは、リスクを「移転する」ことだけでなく
「事前に把握し、防ぎ、被害を最小化する」ことも含みます。
そのためには、リスクファイナンスとリスクコントロールを組み合わせた
総合的なアプローチが必要不可欠と考えています。
桜が日本人の生活と自然をつないできたように、私たちも保険を超えた知恵と
工夫で、地域の安全と安心を支える存在でありたいと思っています。
(取締役 森竹 豊)
